K. N. さんへの手紙
平成12年5月
親しくしていたジャーナリストが、自分の口腔内に不安を感じ、片山先生に手紙を認め、助言を求めた。
それに対しての、片山先生の返信。返信1
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K. N. 様
平成12年5月15目
片 山 恒 夫暫くご無沙汰しております。お便り懐かしく、お見舞いのお言葉有難く心に沁みます。
さて、ご用件にご返事できれば……と思い、代筆をお願いしております。第一に、詳しく知らせて頂いて、詳しく見せて頂いた上、考えさせて頂きたいと思いますが、とても現状では不可能です。
いまN君の父親が肝硬変の癌化した最悪の病状にあります。入院の上、あれこれと処置をして貰って、病人も極限の苦痛に耐えている状態。N君も半月近くの交代で妹達と看病に尽くしております。
その状態も詳しく聞いてあげ、何か出来れば……と思いは募りますが、十分に聞いてあげることすら出来ておりません。ただ、日中ウツラウツラとしている日常ですが、私自身の判断では、気力的に少し良くなってきたように思っております。それも半年前、1年前に比べてのことです。
いまは排尿のためにベッドから降りて、二本の足で立ち上がることすら不安な状態で、寝たままでの便器の用意はして貰っています。昨今、介護保険の問題やら、生活習慣病予防の問題やら、結局は自分で勉強して事前未病の時期に、予防に務める努力が向けられているように思います。
つまり医・患共同、患者丸ごとです。
患者の生活内容は分かりません。ましてや自分より年上の、見た事も聞いたこともない、経験することの出来ない、体感、感得できない想像の未来像は、よほどの心の余裕と本当に「助けてあげよう!」「助けたい!」という衝動のような強い気持ちが働かなければ、とても自分の生活のため、金儲けのためでは全然、全く何一つ分かるものではない事が、私自身、この歳になってよく分かりました。
従って今までの先生どの方も自分の経験から全幅の努力をなさっている事と推察致します。
しかし今まで申し上げた、高齢の方々に対する考え方が抜け落ちているのではないでしょうか。
それを自分で十分自覚して「こうではないか」自分の推測を述べ(病因となるような)ご自分で思い返して、ご自分で努力して貰い、その結果をみて少しでも良くなった所を見逃さず、「こうなさったのではなかろうか」「それが一番有効だと思う」と述べて、次々に改善を進めて行けるように医・患共同を患者丸ごと、患者主導で行く、進める、勧める方法が欠けているのではないでしょうか。
しかしまだ欠けている所がある。つまり医療者の立場として、もっともっともっとルートプレーニング、歯頚深部の歯垢除去が足りないのではないかと思います。
つまり私自身の今の状態、自分の歯に自分でブラッシングする事が、ブラシが持てないような状態になったら、つくづくそれを感じます。
舌の先で自分のこの歯の周りの、ここの歯垢をブラッシングしたい……と思ってもブラシが持てません。とても人にお願することも難しいです。
こんなになる前にどうすればよいか。あらゆる病気に対して同じことが言えるのではないか。
ひとの一生はいつお終いになるのか。一方、嘘つきばかりの元気な人達が、悪性のウソ、騙し合い、バラし合いで目立とうとばかりしている。それに自分が等しく感じている。親や学校教師まで「嘘つきのエエ格好しい」と見えてきた時に、自分は何をすればいいのか。考えた末、キレルしかないのではないでしょうか。横道に逸れたようです。
またのお便りお待ちしております。不十分なご返事ですが、また出来れば続きの代筆をお願いしょうと思っています。
小渕さんの亡くなった記事に囲まれた朝に……。
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返信2
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K. N. 様
平成12年5月18目
片 山 恒 夫第二報
お手紙着信後、読んで貰いながら、これはこれは……とまず感じました。
これから第二報をお送りしょうと思い、まず遅くなっていることのお詫びを……と思います。N君が今朝9時半の便で、伊丹空港から父親の看病に再々出発しました。やっと一昨日、第二回目の大処置の決心をしました。都合で5回目になります。3回は食道静脈瘤結紫手術、2回は肝臓病変の頚動脈カテーテル塞栓術。その最後の処置をやっと、おとついから納得する気になって来て、明日処置することに決まったためです。
とてもとても堪え難い苦しみを経て来ているようです。さて、お手紙をと思い代筆を頼んでおりますが、どこから何からお話ししていいか。ベッドに身体を起して貰って口述致します。
まずナイトガード。これは今の状態とは無関係です。
ギリギリと隣で寝ている人が、眼が醒めるほど夜中に歯を食いしめる。噛み締め、ニジラせ、噛み締める歯軋りは、咬合面の凹凸をツライチにしてしまうほどにひどいもので、口腔状態は全然別な状態です。
ぐらついている歯に、そんな状態にまで歯軋りできる筈は有りません。年若く、ガッシリした歯に起きるもので、原因が全く違います。
クレンチング・タッピングは歯軋りの中に入れて考えられていますが、別のものです。
クレンチングは、4、5歳頃から始まり、乳歯の脱落期に脱落を助けるために自分で噛み締めたり、自分で浮き上がっている歯を噛み締めたり、横ににじらせたり、時には指先でこね回したり、痛くないがどうしても止められないものでついやってしまう。
この事から、自分で自分の身の在り方を、自分で処理する方法が身につくものと思います。私は自分で自分の歯を抜く事を、その時覚えたように今でも思いだされます。
上の歯は床下に、下の歯は屋根の上に「ネズミの歯と替えてくれ」と言いながら、教えられた通りにした事を思い出しています。今の貴方のクレンチングと相通じるものがあります。年取ってからの歯のぐらつき、或いは、それ以前の、どこかの歯の浮き上がり、ホンの少しも痛くもなく、噛むと浮き上がりが感じられる。そんな時には、また必ずのように、歯磨きの時、普通にしているのにどこからか血が出ている。
これは歯ぐきはなんともない、腫れてもいない。だが口が臭い。いつもどこからかごく僅か出血と組織液が洩れ出ている。
糖尿病の場合は余計に口が臭くなる。
これはナイトガードを用いる場合の歯軋りとは違って、初老期に多く見られる。原因が全然違う。
どこからか出血する。普通に気をつけて歯を磨いているのにもかかわらず……その通り。
歯ぐきは何処も悪いとは思えない……その通り。何故か。
異栄養性歯周疾患(dystrophic periodontal disease)。つまり分かり易く言うと、日和見感染を受けるような身体の弱った状態。病院で入院処置後、最低の身体の状態でありながら、自分ではずっと良くなっている。いま悪い状態では無いと思っている。そんな身体の状態、或いは時期。
……だから、自分では気がつかない。却って楽しくて面白くて……と言う事をやり続けていって、身体が弱っている状態。勝ちマージャンに熟中し、何日も続けている人・パソコングームなどなど。
自分では滅相な……と思うだけで、納得することもしない。だが歯は正直に浮いて来る。何故か。
今までどうもなかった。或いは共棲すらしていた菌が感染源と変る。そして炎症を形成し、歯は浮き上がる。
だから噛まないで……と言うために、ガードを嵌めることもあるし、浮き上がった歯が、特にこれが……という事であれば、当らないように削り合わす事もあるが、噛まないことが一番だと思う。食事は流動食。私の炒り玄米の5分粥を100回噛み。タンパク質を忘れないように、卵を日に2、3個まではいいようだが。砂糖抜きの味付け、糖分は食後にデザートとしてひとかけらのブラックチョコレート、食後すぐビタミン剤、アスコルビン酸1回1グラムを続ける。
その上に誰か親しい内科医があれば、(これが重要で、これこそ歯科がどうしてもやる必要がある処置)次の処置を是非やって貰いたい。
つまり点滴による栄養補給と抗生物質の補給です。これは錠剤・経口投与も出来ますが、点滴のほうが効果的です。
というのは、消化吸収の力も落ちている為です。是非考えて見て下さい。ではまた。
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返信3
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K.N. 様
平成12年5月23目
片 山 恒 夫第三報
第三報は、返事待ちしていたのではない事、返事があっても無くても分かって貰いたい事をまず、ごく短く書きます。
ガードは今の状態から何かをする事(治療の手段)のために、より悪化が心配される。
——その原因は何かをするために一層、動揺・動かす(安定を損なう)事で悪化する。——
のを防ぐために、その時だけ或いは、処置後数時間(一昼夜)に除去するものと私は考えます。つまり暫間固定と称していた装置の簡便法です。何もすぐ処置をしないのに安静を与えておかなければならない時もあります
それは安静が保たれる必要があると思う。!言いかえると、殊更に動揺を与える何かがある。それは多くはタッピング、或いはクレンチングです。排除しようとして(本能的に)無意識的に動揺を与え続けるなにかがあって、その現れとして動かす動作です。
つまり悪くなってゆく現れの一つと言えます(乳歯歯根吸収が完成して食事の刺激だけでは脱落しない時、自然に力を加えて脱落排除しようと言うのが本当の生理的本能でしょう)。髪の毛一本でもじっとしていられない鋭敏な口の中の咬合関係です。
だからクレンチングして抜いちゃうか、抜けるようにしてしまうか。それをそのような状態の現れとして捉え、悪くしないよう或いは、助けて長持ちするよう手を加える。それが治療処置です。
治療処置には先ず、その症状が出てきた場所は何処なのか、その症状を発している病変の状態はどこに、どのような有様か、先ず確実に調べる。
それに対して症状が薄れ、消えて無くなる手段を講じる(治療をする)と同時に、病因を探し始める。
現代医療は、その原因の究明を怠っているために、症状改善の偏頗な治療(癒しではない)と言われている。
まず原因の一つに局所の組織抵抗力の減退がある。この場合、歯根膜・歯槽骨(歯ぐきは一番あと)。
それはその患者の生活の中にあって、他人が知る事は殆ど無い。病気には必ず内因がある。それを除去しなければ癒しはない。
この簡単な理屈を患者に本当に分からせ、その後それは医者には分からない(昔は殆ど分かった)。森首相の「神の国問題」と同じように、自己中心的な人間関係では分かることはない。
だから患者がその気になって自分を治そうとする(内外の病因を除去しょうとする)協働作業が必要になる。絶対必要になる。
その必要性を本当に認めさせるために、我々はモチベーションの技能が必要である。それは一刻一朝では難しいことも多い。
相手一人一人、自分とは生い立ちが違う。違う状態の中でいろいろの考え方の違い、それをまず理解して、お互い分からない者同志だけど協働して病因を取り除こうと努力する。これが治療の根底になければ回生は望めない。
クレンチングを問題にするのは、実はそこの所を問題にしているのだと私は早くから考えて、乗り越えたつもりでいる。
だから安静を取り戻すためにガードをするのは、一時的な所謂、暫間固定です。それによって治る事も癒える事も、望む事は間違いです。
だが、固定とは別問題です(固定の問題は別の機会に述べる事にします)。だから固定するのはではありません。自然に自分で動こうとする動きに逆らって、動けないようにする安静装置であってはなりません。
そのような自分で動かなければならない症状が出ているときは、他の事で分かります。つまりごく僅かの移動があっても、タッピングする事でどの歯なのかが分かる。そしてそれが意識されるとクレンチングするようになってくる。
その時に、その歯である事を確認(パノラマ・レントゲン3方向の精密レ線)し、その原因が何であるかにかかわらず、まず症状改善(浮き上がりを無くする)ために処置を行う。
その処置は、ルートプレーニング。これが非常に難しい。そして患者に非常に危惧・不安を与える。つまり「この先生へたクソ」「この先生大丈夫」と2、3軒も歩いていれば、誰でも分かる感じ。
つまり技工を何度も何度も、何処へ出しても構わないような(ある人は壁に張りつけて、皆んなに見て貰うような作品に仕上げる(喋るのではない。口ではなく指先。つまり政治家でなく職人の意識)。指先を鍛えている人が、嬰児をあやすような、広く柔らかい気持ちで処置をする。温度差のないように、一切の刺激を避け、出きるだけ軟らかくそして落ち度の無いように、隅から隅まで手早くやってのける腕が無ければ患者は「この先生へた糞」……。あとは嫌々、早く済ませて欲しい。我慢が続く。
このような処置では、良くなる筈がありません。その前準備に必ず固定が必要です。下手であればあるほど準備が大切です。
そしてその処置が、組織に対して完了する時間は、最短で丸1日必要です(歯周組織に障害を与えた時は別)。あくる日は固定を外します。24時間か20時間だったり28時間だったりするでしょう。
必ず装置は外したいものです。だから暫間固定です。それを長時間そのままに置くのは、暫間固定ではなく、半固定と言いたくなります。その装置をまたその時に、他の目的で繰り返し行う事があります。
以上が治療処置のキャッピング・ガード・ディガード・ナイトガードです。
それにはそれで上下の咬合の処置を十分に考えて、初めてガードした上での咬合調整が、ガードしたそのものに削り合わせが行われます。ですからガードは簡単なようで非常に難しい。
それこそ「下手のやる事」ではありません。下手のガードは悪化を招くものです。下2本の前歯の保護を……絶対抜かないように、これから守り続けて下さい。
前歯2本が抜けたら、そのままにはして置けないでしょう。必ず入れ歯に。
それと同時に、奥歯に入れ歯も考える事でしょう。そうすると次々にぐらつく歯が増えてきます。このことが一つ。次は病因の除去
病因は殆ど自分の生活の中にある……と言われております。
好きだからまずお粥にだけは変えて見た。だけどそれで数日の間に良くなるものでしょうか。まだまだ他に沢山あると思います。だから自分で考えて、自分で治してゆくしかありません。第二に、自分の今の暮らしと自分の今の身体(年齢による)の落差。
若さを続けて行こう……とする事は、生き物が死ぬ事が決まっている間は、無理な望みと言えましょう。
今の老体(60歳代・70歳代・80歳代)の、そのそれぞれに合わせた今の暮らしの状態がどうか……で判断するしかありません。
一見、歯ぐきの状態が良い様でも、だからとて見えない深部に炎症が進みつつある事を否定してかかってはなりません。危険です。
どこかから血が出る。血が出た事は事実です。それも一回だけではありません。それが歯ぐきからでなく、歯を磨いた時にどこから出たのでしょうか。
喉からか、舌のどこからか、それも調べなければなりません。
私は、歯ぐきの場合が多いと思います。それがどの歯の何処からか。自分で知りたいように思います。
だからその方法を考えました。真っ白な歯ブラシ。横こすりではなく、突っ込み振るわせ磨き。いちいち歯ブラシを眺める。その方法で必ず見つかると思います。第三は、睡眠時の呼吸状態。完全な鼻呼吸か、口呼吸か。
歯軋りはあるか、無いか。あればどの程度か。以上のような事を自分で調べる。出来ないことは誰かに見て貰う。その上で自分で考えた事を確実に実行する。その程度によって総ては決まると思います。
具体的な、それこそ文字通り具体的な問題は、自分の本当に理解できた、体得している自分の行動によって守れるものと思います。
他人に頼る年ではまだ無さそうです。しっかり頑張って下さい。
それこそ文字通りお元気に……。草々
平成12年9月
体力がどんどんフレイルしていく中で、NPO法人設立、片山先生不在の片山ビデオセミナーの開催等々で心休まる時もなく、それでもなお歯科医の使命を訴え続けていた、その当時の手紙。
救歯について
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K. N. 様
平成12年9月12日
片 山 恒 夫前略
先日のお手紙で、私の状態のことについてもお尋ねが冒頭に書かれていましたので、その辺から……。先ず喰うこと(それしか楽しみはありません)。両手・両足が痺れて自分の手で自分の口に運べなくなっています。両足で立つことは、両手にステッキを持っていても不能になりました。だから今は負ぶさって、やっと数10歩が限度で
す。
もう少し申し上げると、寝たまま食べさせてもらう事は、喉が詰まるので出来ません。ですから食事の時だけ身体を起こして貰い、背凭れに凭れ、前は机に被さるようにし口に運んで貰います。……省略……
K. N.さん、来んほうがいいと思われませんか。でもやって来る面会の人たちが週に1回ほどあり、絶えません。30分がつい1時間半になったりします。
電話も長距離、週に1回ぐらい長電話です。勿論受話器は持てません。拡声電話で長い時は1時間以上ざらに喋ります。あとは寝てしまいますが、そんな状態でも50回噛み100回噛みが出来る事が、歯医者になったお陰だと思っています。今回は救歯
生活習慣病となぜ言い出したか。どうしようとしているのか。
自分たちの現症改善治療、つまり病因除去のない症状除感、つまり痛くて噛めなかったのが、ウソのように痛くなくなって噛めるようになった。
そんな療法だったら救歯は九死です。殆ど死なせて終わりです。
これを「九死に一生を得る」にする。歯の場合だったら「救歯一生を得る活動は、今までと違い医患協同でなければ遺憾」と申しました。
生活習慣病と言いながら、まだ「だから患者と共にでなければ……」言いたいところですが、病人になってしまえば病人は何も出来ません。
だから医者はそこから先は言えません。歯科の場合は病人であって悪口が言えます。悪口言う人の口を、良い口に治すのが救歯です。だから救歯は悪口を言う人を治すことから、どうして治すか考えます。
暫間固定はそのためのものです。どのようにブラッシングすればいいか、どのようなものを、どのように食えばいいかをよく理解していても、それが出来ない状態から出来る状態にしてあげます。それが暫間固定。必ず、患者自身で間違いのないブラッシングと間違いない食事を実行できるようにしてあげるのが暫間固定。
もう一歩、歯医者の側にとっては、スケーリングとルートプレーニングを完全に行われるようにするのが暫間固定です。だが、この2つだけでは救歯に一生を得られません。その歯の生きようとする力を助けなければなりません。縛り付けてしまっては意味が無くなります。
その辺の所を医患協同でお考えください。
それでなければ遺憾と思います。以上
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堅い心
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K. N. 様
16年12月13日
前略
暫くご無沙汰に過ぎましたが、昨日はたくさんのリンゴ、お見舞い頂き、本当にこころから感謝しております、
私ごとになりますが、もう95歳。呆れ果てた長生きのように思っておりますが、しかし、まだしなければならないと思いつめていた仕事が残っております。
それを一つひとつ片付けていくのには、今の私の状態、(つまり四肢ほとんど完全に麻痺、食べ物も下の大小の世話も一切、不覚のうちにお世話にならざるを得ない状態)では、なかなか思うようにはなりません。
そんな昨今まず、第一は、プライスのデンタル・インフェクションの訳出です。それと私の死後の後始末をどうしても、私の考えでやっておかなければならない問題で、遺言の作成として、成年後見制度のご厄介になっていますが、それが、思わぬ面倒な重荷になってきております。
またその次に、数人の人からの希望で過去のセミナーのビデオによって、私のいないビデオセミナーをやることです。これは昨年の暮れにイエローハットの箱根寮を借りて試行の後に、昨日、やっと第1回を50人出席で終えました。
何時まで続くか、誰がどのように続けてくれるのかはちょっと心配な動きです。しかし、ビデオセミナーも今朝、終わった…との報告が、2、3、所感とともに送られて来ましたが、何となしに受け継いでくれる気持ちが伝わって参りました。良かった…と喜んでおります。
まずは安心。しかし今後、どうなるか。それらを動かしていく集まりの形をNPO法人恒志会とし、これも半年ほど前に、大阪府の認証を得ました。
その第一回の理事会の会合で、私は、5、60年或いはもっと前から心に決めた私の生き方・行き方の主旨を、誰にも一言も今まで発言したことのない堅い堅い心のかたまりを解き放し、初めて理事の皆さまにぶっつけました。
呆れていたようですが、また納得してくれたように思います。
理事面々の一人ひとりが私の気持ちを汲んで、心の奥底に深く刻み込んでくれたと確信しております。
その趣旨を、K. N. 先生にもお伝えしたいと思います。生活習慣病(ほとんどの病は総て)というならば、その中に病気の原因になる悪習慣があって、それを続けているから病気は発症する……と医者は発言しながら、その悪習慣をこれだと見つけて、それを何故除こうとしないのか。
発病の後、やっとリハビリまでやって回復した。そして発病から歳をとった老齢の弱った身体に、同じような悪習慣・病因が存在している生活を続けさせていることは、近い将来に必ず強度な再発が必至であることが分りながらそのままにしておいて、治ったと安心させる。そして再発を待っているような今の医療には、私には、どうしても納得が出来ません。
だけど、どんな病気でも病後の状態で、それを、つまり生活改善を強いることは無理ではないか…という決定的な問題がはっきりしております。
だから歯科で、患者自身が、その病因を自らの生活の中から見つけ出し、意識・知識を備えた自らの行動としてやり遂げて治していくように仕向ける事、すなわち、患者自身が自分で努力して治すことが出来たと感得する状況を作り出す事が必要である。患者はそれまでの来し方を省みて、自分の行動で自分の意思で自分の努力でやり遂げた、つまり「自分はやれば出来る…」。自分の悪習慣を見つけ出し、自分で自分の悪習慣を変え、自分の努力で完全に治したという、その自負を他の病気に向けてやっていく。そして健康の本当のあり方、知識と意思、そして行動。その結果、健康スピリチュアリテイとソーシヤリテイが含まれたその中での自分の健康が保っていけるのではありますまいか。それを私は、極端な悪口をまじえて理事の皆さんに叩きつけたわけです。
最近の苦しい生活のなかから、一言、心からのお礼を申そうとして、雑言を聞いて頂きました。最後に、皆さまのご無事とご多幸を心から念じていることを書き付けて貰って、終わらせて頂きたいと思います。有難う御座いました。本当にありがとうございました。
恒夫拝